Introduction イントロダクション


本作は、朝鮮王朝第3代王・太宗(テジョン)の正妃であり、世宗(セジョン)大王の母として知られる歴史上の女性・元敬王后の波乱に満ちた人生を描いた歴史大作。王妃という一見華やかな立場にありながら、王宮内の権力闘争、夫との政治的駆け引き、子どもたちの将来への責任といった、数多くの重圧と戦う姿が映し出される。単なる王妃ではなく、知性・胆力・戦略眼を兼ね備えた“政治的パートナー”としての彼女の姿は、現代の女性にも通じる強さと共感を呼び、過酷な現実から逃げることなく、自らの運命を切り開こうとするその姿勢には勇気と感動を覚える。
「六龍が飛ぶ」「太宗イ・バンウォン~龍の国~」など朝鮮時代初期の歴史ドラマでは、これまで主に太宗視点で描かれることが多かったが、妻の元敬視点で物語を再構築したのは本作が初。聡明で美しく、世界を変えるという大志を抱き突き進んだ元敬の一代記から目が離せない!


王位継承を巡る熾烈な争い、元敬が王妃として愛と義務の狭間で揺れる感情、王をはじめ国家を背負う者たちの理想と現実。その中で交差するのは、血のつながりを超えた信頼、友情、嫉妬、そして裏切り。宮廷の陰謀や策略も丁寧に描かれており、散りばめられたサスペンス要素にも息を飲む。
元敬という一人の女性を中心に据えながらも彼女の視点だけではなく、朝鮮王朝初期の激動の歴史を背景に、王と王妃、彼らに仕える人々や側室など、複雑に絡み合う人間関係や心の機微を描き出している人間ドラマであることにも注目!


主人公の元敬を演じるのは「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」で強烈な印象を残したチャ・ジュヨン。聡明さと人間味を併せ持つ難しい役柄を、時に大胆に、そして繊細に演じ切り、高い演技力とその眼差しで視聴者の心を掴む。元敬の夫であり、第3代王の太宗にはイ・ヒョヌクが抜擢され、静けさの中に隠された憤怒や悲哀、野心など様々な感情を見事に表現している。本作が初の時代劇作品となった二人だが、圧倒的な存在感と卓越した演技力で、視聴者を物語の世界へと深く引き込んでいく。また、「おつかれさま」での活躍も記憶に新しいイ・ジュニョンがのちの世宗大王として特別出演したことも話題に。 豪華な衣装やセット、時代考証に基づいた細部へのこだわりも必見で、ストーリー・演出・演技の三拍子が揃った本作は、歴史ドラマの醍醐味を存分に味わえる極上の一作となっている。

Story ストーリー
1400年開京(ケギョン)。2度の乱を経てイ・バンウォンは第3代目朝鮮王として王位に就き、王宮では王妃の内助の功をたたえる華麗な式典が開かれる。バンウォンと王妃は若き頃、民のための国を作るという大志を抱き、「全てを分かち合う」と約束を交わしていた。しかし歳月を経て、王妃に王の資質を見い出したバンウォンは、危機感を覚えるようになる。一方、私設の諜報員である易者を使って民の声を集める王妃の元には「バンウォンが幼い弟を殺して王になったことで天の怒りを買い、日照りが続いている」、「王は王妃に操られている」などの不平不満の声が届きはじめていた…。
Chart 相関図

Cast キャスト
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おくり名は元敬王后ミン氏。高麗から宰相を輩出した名家であるミン家の令嬢であり、名君世宗大王の母。1400年に起きた第2次王子の乱の際、夫バンウォンに鎧を着せ、乱の鎮圧と王権掌握に決定的な役割を果たす。冷静沈着で聡明であり、秀でた政治感覚の持ち主で弟たちに「男に生まれていたら王になっていた器」と称される。それゆえ、バンウォンと何度も衝突を繰り返すが、決して妥協を許すことなく、朝鮮王朝の枠組みを築き、四男四女を産む。
チャ・ジュヨン
父親の勧めで中学時代にマレーシアにあるインターナショナルスクールへの留学を経て、アメリカのユタ州立大学を卒業し、26歳の時に「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」(2016年)で俳優デビュー。日本では「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」(2022年)のいじめ加害者役チェ・ヘジョンの熱演で視聴者を惹きつけた。本作では確かな演技力と美貌、落ち着いた低音ボイスで韓国人視聴者を魅了した。
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朝鮮王朝の始祖である太祖イ・ソンゲの五男。王子の称号は靖安君(チョンアングン)で朝鮮第3代国王である太宗(テジョン)。17歳の時に科挙に及第したように高い知性とずば抜けた頭脳の持ち主と知られる一方、目的達成のためには肉親や妻の家族にも容赦なく刃を向ける冷徹さの持ち主である。また、外戚に権力が集中するのを恐れ、多くの側室を迎え入れたことで元敬との関係が悪化したと言われている。そのドラマチックな人生から何度もドラマ化された。
イ・ヒョヌク
韓国芸術総合学校在学中から舞台やインディペンデント映画に出演し、演技力を養う。映画『ポイントブランク~標的にされた男~』(2014年)でデビュー。端正な容姿と演技力で舞台、映画、ドラマで幅広く活躍中。「他人は地獄だ」(2019年)「先輩、その口紅塗らないで」(2021年)映画『プロット 殺人設計者』(2024年)など数々の話題作に出演。
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朝鮮王朝の始祖であり、初代国王。子供たちの王位継承争いに苦しみ、太上王になってから仏教に帰依する。国王に即位する前、軍人として多くの戦場で民が飢えで苦しむ姿を目の当たりにし、民を苦しみから救うため朝鮮の建国を決意する。そのため、バンウォンを王座に就けた名家出身で権勢を誇るミン家出身の元敬を疎ましく思っている。
イ・ソンミン
高校時代に俳優を志し、90年代に舞台や映画の端役を中心に活動し、演技力を磨く。2012年「ゴールデンタイム」での演技が注目を集め、2014年に「ミセン-未生-」で百想芸術大賞男性最優秀演技賞を受賞し、大ブレイクを果たす。日本でも「記憶~愛する人へ~」(2016年)の名演技で注目を集めた。
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生まれは奴婢だが母親に捨てられ、幼少期に食うや食わずで路頭に迷っていたところを元敬に拾われてミン家の使用人に。バンウォンが王座に就くと共に元敬のお付きの使用人として王宮に入る。自分を拾ってくれた元敬に恩義を感じていたが、ある夜、突然バンウォンと共寝するように命じられ、困惑するが、彼女の決断は…。
イ・イダム
高校生の時に友達と一緒に演劇部に入部したことがきっかけで演技に夢中になる。2017年に短編映画『二つの光』でデビュー。2021年「工作都市~欲望のワルツ~」では自身の憧れの俳優であるスエと共演。本作では野望を胸に王妃と互角に張り合う側室を演じ、次回作は制作前から話題を呼んでいる日韓合作ドラマ「恋の通訳、できますか?」にも出演。今後が楽しみなライジングスターの1人として注目されている。
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元敬が王妃になる前からかわいがっていた使用人。それゆえにバンウォンから目を付けられ、バンウォンの子を妊娠し、年長の使用人であるパン・バンジャと共に姿をくらます。バンウォンの即位後、パン・バンジャと共に生まれた子の手を引き、ハ・リュンの屋敷に詰めかける。
イ・シア
2012年にガールズグループCHI-CHIの一員シャインとして芸能界デビュー。その後、芸名をイ・シアと改め、ドラマ「シグナル」(2016年)に特別出演し、演技力と存在感で注目を浴びる。「ミスター・サンシャイン」(2018年)、「リセット~運命をさかのぼる1年~」(2020年)「高麗契丹戦争」(2023年)などドラマに出演するかたわらYouTubeの配信者としても活躍中。
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元敬の弟で長男。父親のミン・ジェに似ており、選民意識が高い。慎重な性格の持ち主だが強い権力欲を持つ。子供の頃から姉である元敬を尊敬しており、心から慕っている。
ハン・スンウォン
2011年、ドラマ「サイン」のOSTで歌手デビュー。2018年のドラマ「ロマンスは命がけ!?」では準主演級の役を演じた。「推理の女王2~恋の捜査線に進展アリ?!~」(2018年)や「海街チャチャチャ」(2021年)に出演し、2023年に本名のキム・ジニョプからハン・スンウォンに改名。ドラマ、映画、舞台と幅広い分野で活躍している。
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元敬の2番目の弟。兄よりも直情的で配慮に欠けた発言が目立ち、バンウォンの神経を逆なでする存在。兄のムグと同じように元敬を尊敬し、慕っている。
キム・ウダム
韓国芸術総合学校出身。2011年に「サイン」でデビュー。最近では「偶然かな。」(2024年)「照明店の客人たち」(2024年)に出演。これからの活躍が期待される俳優。
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王子の乱などで手柄を立てた功臣であり、バンウォンの最側近。バンウォンが王になる相の持ち主だと見抜いた観相家でもあり、元敬にも王の相があると見抜くが、バンウォンが王座を固める上で大きな障害になると予言する。
チェ・ドクムン
1999年映画『ペパーミント・キャンディー』でデビュー。数々の映画、舞台、ドラマ、テレビ番組に出演する名バイプレーヤー。韓国ドラマファンの中ではお馴染みの顔!
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爵位は安城君(アンソングン)。科挙及第者であり、バンウォンと同じ文官。出世欲と独占欲が強く、ハ・リュンと共にバンウォンの側近を務める。ハ・リュンに比べ率直に野心を表し、バンウォンに忠誠を誓い、権力の犬になることもいとわない人物。
パク・ヨンウ
韓国芸術総合学校在学中、2013年に舞台『寂しい人、孤独な人、悲しい人』でデビュー。その後、舞台をメインに活躍している。本作がドラマ初出演である。
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元敬の実父。高麗の宰相を輩出した名家の家長であり、選民意識が高く、両班そのもの。万事に慎重な性格。バンウォンが次々と側室を迎えることに眉をひそめる。
パク・ジイル
1986年、釜山の小劇場にて「死のフーガ」でデビュー。それ以来、コロナでステージが中止になった時以外は毎年舞台に立ち続けている生粋の演劇人。数々の映画やドラマに出演し、存在感を放っている。
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元敬の実母。夫が宰相であり、息子たちも要職に就き、娘が王妃になるという最高の名誉を手に入れるが、時代の荒波に翻弄されることになる。
トン・ヒョヒ
映画俳優。父親の転勤に帯同し、ドイツやアメリカで暮らし、カリフォルニア大学リバーサイド校映画科を卒業した国際派。ロサンゼルスで見たミュージカルが演技の道に入るきっかけとなる。代表作は映画『おばあちゃんの家』(2022年)。
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尚宮(サングン)の中の最高位である堤調(チェジョ)尚宮であり、高麗の王朝が滅亡するさまを見た生き証人でもある。元敬の忠実な臣下であり、長年の王宮勤めで得た知恵と機転で元敬とバンウォンの夫婦仲を取り持つ役割を果たす。
ソ・ヒジョン
水原大学演劇映画学科卒業。数々の映画やドラマに出演し、存在感を残す名バイプレーヤー。本作でも厳しさと優しさを兼ね備え、陰になり日向になり、元敬を支える堤調尚宮を見事に演じきった。
Staff
演出:キム・サンホ 「アラン使道伝」「華政[ファジョン]」
脚本:イ・ヨンミ 「マネーゲーム」